笹百合

笹百合は学名Lilium japonicumであり 日本固有種のゆり と訳せば良いかと思います。葉が笹の葉によく似ており花芽をつけないと判らない程です。 

写真の笹百合は自宅で栽培しているもので、種からここまで生育しました。約8年掛かりました。

松茸山に4本だけ咲いている花を見つけ晩秋にその朔果を集め播種したのです。それまでは笹百合を知らず間伐された急斜面に揺れる花を見つけた時は妖精のように綺麗でした。

南伊豆町の天神原植物園の園長さんを訪ね栽培方法や殖やし方を実演で教えて頂けました。有難う御座いました。

栽培の前に最も大切な点は、できれば自生地の土を使い、化学肥料は厳禁。 自生地と同様な環境であること。(木陰に咲いていたものなら半日陰の環境にする)この2点は重要です。庭の土を現地の法面から運んだ土に入れ替えました。 この作業を行うと百合は言う事を聞いてくれ生育が凄まじい。原産地では1200mの高地でしたが、自宅は760mで平均は4℃暖かいからです。今年掘り起こした鱗茎(球根)は大人のこぶしのサイズで鱗片を30個取れました。大きい! 鱗片からでも個体を増やせるので播種のほか鱗片再生法の二つで行っています。

それぞれ利点が異なります。播種ではウイルスの感染が無く健康な出芽が期待できますが花芽を付けるまでの期間は7年以上になります。 対して鱗片再生法ではパワーのある鱗片からですと3年で一花を付けましたが、親鱗茎がウイルスの感染があればその鱗片も感染しているので途上で球根腐敗病などになりやすい。念のためチウラム・チオファネートメチル水和剤で消毒をしてから土に埋め込みます。場合によりオルトラン粒剤の散布も考えないとなりません。できれば散布したくないのですが、アブラムシの対策を考えます。 こやつが病原菌を媒介するのです。地上に展葉した可愛らしい1枚、2枚の幼葉の裏にもアブラムシが付きそれを見落としますと悲しい結果になります。 原産地は真冬には-30℃の寒さですからアブラムシは発生しませんが、庭先では要注意です。

生育した朔果の中には200個から300個の薄い種が入っていて秋に地上に落下し首尾よく好条件に恵まれた種は翌夏の暑さで下根が出、その年の寒さを経て翌翌春に上芽が出るので、早くて1年半後の発芽となります。これは稲籾の下根と芽の出方に近い。先に下根が発生するところ。こんな薄い種からあのような立体的な花芽を付けることは驚きですね。 本年は3花(三枝)を付けた笹百合を率川神社の三枝祭(ゆりまつり)に利用して頂くように宇陀市菟田野大神地区に届けました。

この百合花をモティーフにした作が笹百合時計となります。

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