五月女 ニーザー アレクサンダー氏が日本の木造民家に興味を持っている様子から思い出し、何回か宿泊させて頂いている奈良県宇陀市のゲストハウス 「奈の音」をご紹介致します。
歴史ある古民家を活用するゲストハウスですがバス、トイレは最新式で清潔かつ快適です。
宇陀市の菟田野地区に伺った時に宿泊したゲストハウスですが、元は醤油蔵元の家で上質な天然木をふんだんに使い建築されたので風格までも浸み込んでいる和風建築と思いました。
解体するには忍びないと思われた前さんご夫妻が購入されて修繕され蘇りました。外観が堂々とした木造建築でしたので宿泊してみたいと思い申し込んだのですが予想した通り素敵でした。こんな時はニヤッとします。
屋根下に何気なく置かれた大型の壺を見、土間を渡りながら中に踏み入れますと、襖にはヒノキの一枚板、土蔵の扉は厚み30㎝、荘重な作りでこの土地の古の賑わいを肌で感じることが出来ます。天然素材の内装は古さを全く感じないどころか色褪せていない。
内装に見合った外観は瓦の載ったむくり屋根、むしこ窓との調和は伝統ある商都にきた風情を呼び起こします。
これだけのものを今建築すれば何億円かかるだろうと思われますが、この天然素材は揃わないだろうし、それだけに補修しながら長く利用したい気持ちになります。
木造とはいえ用材の樹齢に等しい年数の利用が可能であること、それが木材の有意義な活用になると故西岡常一氏の口伝にあります。
宇陀は人麻呂の万葉秀歌が詠まれた地です。阿紀神社に万葉歌碑があります。
安騎の野に 宿る旅人 打ち靡き 眠も寝らめやも 古思ふに (万葉集1-46)
「奈の音」に宿泊する更なる楽しみは写真のような朝食です。上品です。
年季の経た江戸時代ものと思われる本物の漆膳に用意された茶粥は色と異なり味は淡泊ですが横に添えられた奈良漬と一緒に食するとにんまり美味。健康的。
茶粥は土鍋からお椀によそった写真です。ご馳走さまでした。
今年も訪れた折にはお邪魔しますが宜しくお願いいたします。